システムのセキュリティやパフォーマンスのような、目に見えない機能は疎かにされがちです。
目に見えない部分だからこそ、システム開発会社は丁寧に何度もこの重要性を説明して、これも開発予算に組み込んでいただく努力をしています。
その中でよく、最初はデザインや宣伝広告費に予算をかけて、軌道に乗ってきたらシステムまわりに費用を回していければ、というような意向も多く伺います。
至極よく理解できるご意向ですが、経験上その半分は、その後もシステムまわりに費用は回ってこないままになります。
結果的に需要が得られずうまく育たなかったシステムであれば、それも先見の明だったかもしれません。
ちゃんと育ってきてから、予定通りそのあたりに予算配分していくようなケースももちろんあります。
ただ、ここで気をつけたいのは、そのシステムに関するプライオリティの低さは、よほど自覚的に評価しないと、永遠にあがらないままだということです。
目に見えないセキュリティやパフォーマンスは、日々の運用で問題が顕在化しない限り、問題のないものだと過小評価されがちです。
もっと言うと、必要のないものだと正常性バイアスによって阻害されがちです。
しかしこれこそが、何かあってからでは手遅れとなる、弁慶の泣き所なのです。
小さな会社だと、システムの開発方針や意思決定、計画立案などすべての権限が1担当者に一任されているものの、いわば完全に属人化された状態で会社としてそれが引き継がれていないまま、当時の担当と異なる後任に変わってしまった場合によく起こります。
中規模以上の会社だと、システムの予算を決定する担当や部署と、その要件を決定するそれらが異なっていて、組織内の風通しがあまりよくない場合に起こります。
また規模を問わず、たとえばスタートアップやいったんのβ版ロンチ、システム開発会社の乗り換え等で、このあたりが明示的にしっかり検討されず、なんとなく疎かにされたままサービスインしてしまうようなケースでもよく起こります。
そしてシステムが、そのまま良くも悪くも問題なく稼動し続けてしまっているように見えることで、皮肉にもこれがパンドラの箱のようになってしまい、誰からも指摘されず、指摘できず、責任の所在も対策の仕方も分からないまま潜在化していき、ある日突然のトラブルで大問題になってしまうのです。
大問題といっても、サーバーが落ちたとか、DBが反応しないとかであれば、然るべき技術的手段でそれを復旧させればいいだけです。
しかしサーバーを乗っ取られたとか、顧客から預かっていた個人情報が漏れてしまったとかになると、話は変わってきます。
システム経由でサービスをユーザーに提供している以上、このサービス提供事業者にもここには大きな責任が求められます。
・ユーザーはなぜ、あなたのサービスサイトで名前や住所を登録してくれたのですか?
・その情報がどのように扱われることをユーザーが望んでいるのか、あなたは理解していますか?
・その情報がもしユーザーの望まないかたちで扱われた場合に、あなたの会社に何が起こるか、あなたは本当に理解していますか?
ケトハはシステム開発のプロです。
ケトハのお客様には、そのあたりの心配をせずに、安心して洋々と本来の事業活動に注力していってもらいたいと考えています。