ステラ(Stellar)を使った暗号通貨システム -その3-

前回の記事では、分散サーバ型のブロックチェーンで、例として商店街で共通利用できるポイントの導入フローを紹介しました。
おさらいとして以下のようなフローになっていました。

  1. 商店街の各店舗が、あらかじめこのサイトから店舗アカウントを作成しておく
  2. 暗号通貨システムが、サイトのアカウントとペアとなる暗号通貨システムのアカウント(=公開鍵)を一緒に作成する
  3. 買い物客が、商店街のホームページから「アカウント作成」をおこなう
  4. 暗号通貨システムが、サイトのアカウントとぺアとなる暗号通貨システムのアカウント(=公開鍵)を一緒に作成する
  5. 3の買い物客が1の店舗で買い物をする
  6. 3の買い物客はスマホでサイトにログインした状態で、レジで1の店舗にスマホの画面を見せる
  7. 1の店舗はそのスマホの画面からQRコード(例)を読み込み、レジで会計をおこなう(現物通貨は旧来通りの手渡し)
  8. 7の会計要求が暗号通貨システムに送られ、金額に見合ったポイントが3の買い物客に支払われる
  9. 7の時点ですでに別の店舗で8をおこなったことによりポイントが溜まっていればその分のポイントが1の店舗に支払われる
  10. 最終的(または一定期間毎)に、1の店舗に支払われたポイントを商工会が暗号通貨システムを経由して清算する

このフローをもう少し詳しくみていくと、以下のようなシーケンスでシステムへのやりとりがおこなわれます。

事前準備1. 店舗アカウントの作成
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事前準備2. ユーザアカウントの作成
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実際の買い物シーン
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決済額に応じたポイント支払い
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店舗やユーザには、このECサイトのアカウントとペアになる暗号通貨システムのアカウントが払い出されています。
これをブロックチェーンでは公開鍵と呼びます(図では”GS001″や”GU002″と記載されているもの)。
公開鍵にはこれを唯一照合できる秘密鍵と呼ばれる暗号キーがセットで提供されます。
(ここでは脱線するのであまり触れませんが、これはECサイトでいうところのパスワード、銀行でいうところの暗証番号に相当し、決して自分以外に教えてはならない情報になります)

店舗やユーザはECサイトを通じて、この公開鍵で暗号通貨システムにアクセスし、買い物にかかった金額に応じたポイントの送金処理をおこないます。この処理は即時的におこなわれ、通常のECサイトやスマホ決済のように裏で与信や決済代行がおこなわれるわけではなく、直接その店舗の公開鍵から買い物客の公開鍵にポイントの送金がおこなわれます。


いかがでしょうか?
例では商店街のポイント管理システムですが、フランチャイズの飲食店のクーポン管理システムや英会話教室の教師向け成果報酬管理システムなど、フィンテックに直接関係しない業態でも改ざんがクリティカルとなるサービスへのソーリューションとして、導入が期待できます。

なお、P2P型(厳密にはビットコイン1.0型のマイニングを要する仕組み)ではレジャの肥大化やブロックサイズの問題で処理速度が課題になっていますが、今回ご紹介している分散サーバ型(ステラ)の独自プラットフォームで構築したブロックチェーンでは、既存のP2Pネットワークに途中から参加するわけではなく、サービス開始基点がレジャの管理開始基点となり、限られたステークホルダ内での利用となるため、大変高速で安定的に稼動させることができます。

ではこの支払いフローにおいて、裏では暗号通貨システムはどのように動いているのでしょうか?
上記イメージ図でいうところの server1 あたりに注目して見ていきたいと思います。