前回は各ケース毎の構成例を書いてみましたが、そのうち独自プラットフォームを使った運用方法を紹介できればと思います。
独自プラットフォームでは、やろうとすれば自前ですべての分散サーバ型システムを構築することもできるため、受益者に非中央主権であることをいかに説明するかというのが課題となりますが、そもそも中央集権で構わないビジネスモデルやスタートアップでは、手軽に改ざん不可能なデータを取り扱うシステムを構築できるため、うってつけかと思います。
ここでは例として、商店街で共通利用できるポイントの導入に暗号通貨システム(ステラ)で構築する場合を考えてみましょう。
登場人物
・商工会
・商店(商工会会員)
・買い物客
まず、商工会が4台以上のサーバーを用意します。
4台以上必要である利用は前回記事で「きちんとユーザにアカウンタビリティを持つ非ステークホルダで構成された4人以上の管理者たち」と書いて済ませてしまっているので、どこかできちんと説明が必要ですが、ここでもいったん見送らせていただきます。
その4台に分散サーバ型であるステラという暗号通貨システムを構築します。
これが上記図でいうところの「ブロックチェーンサーバ群」に相当します。
イメージとしては、商工会の事務所でサーバーを4台借りて、サーバーそれぞれに商工会の会員をひとりずつ管理責任者に任命して、複数の管理者集合で運用しているようなものを描いてください。
もちろん非中央集権型であることに拘らない場合は、ひとりの監督者ですべてのサーバーを運用しても構いませんが、いずれにしてもサーバーは4台必要だと考えてください。
次に、商店街のホームページにECサイトを導入します。
ここでいうECサイトはオンライン販売ができる必要はなく、最低限のPOSシステム(サイト経由でレジ会計ができるもの)であれば構いません。
このサイトの仕組みを以下フローから説明します。
- 商店街の各店舗が、あらかじめこのサイトから店舗アカウントを作成しておく
- 暗号通貨システムが、サイトのアカウントとペアとなる暗号通貨システムのアカウント(=公開鍵)を一緒に作成する
- 買い物客が、商店街のホームページから「アカウント作成」をおこなう
- 暗号通貨システムが、サイトのアカウントとぺアとなる暗号通貨システムのアカウント(=公開鍵)を一緒に作成する
- 3の買い物客が1の店舗で買い物をする
- 3の買い物客はスマホでサイトにログインした状態で、レジで1の店舗にスマホの画面を見せる
- 1の店舗はそのスマホの画面からQRコード(例)を読み込み、レジで会計をおこなう(現物通貨は旧来通りの手渡し)
- 7の会計要求が暗号通貨システムに送られ、金額に見合ったポイントが3の買い物客に支払われる
- 7の時点ですでに別の店舗で8をおこなったことによりポイントが溜まっていればその分のポイントが1の店舗に支払われる
- 最終的(または一定期間毎)に、1の店舗に支払われたポイントを商工会が暗号通貨システムを経由して清算する
このような仕組みを商工会サイトと暗号通貨システムとで連動させることにより、地域限定のポイント制度を導入することができ、またこれは暗号通貨システムを使用しているため、改ざんすることができず、安全に運用することができます。
いかがでしょうか?
次回は上記フローをもう少し詳しくみていきたいと思います。